ホドロフスキーのDUNE(感想)~実物観たかったなぁ

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ホーリー・マウンテン」「エル・トポ」などでカルト的人気を誇る奇才アレハンドロ・ホドロフスキー監督が映画化に挑んだものの、実現に至らず失敗に終わった幻のSF大作「DUNE」。フランク・ハーバートの「デューン 砂の惑星」を原作に、サルバドール・ダリミック・ジャガーオーソン・ウェルズメビウス、H・R・ギーガー、ピンク・フロイドら豪華スタッフ&キャストをそろえながらも、撮影前に頓挫した同作の驚きの企画内容や製作中止に追い込まれていった過程を、ホドロフスキー自身やプロデューサー、関係者へのインタビュー、膨大なデザイン画や資料などから明らかにしていくドキュメンタリー。

2013年製作/90分/アメリ
原題:Jodorowsky's Dune
配給:アップリンク、パルコ

(映画comより)

 

 どうもNOTOです。

 

 急に寒くなりましたね。

 今や四季は汐留ぐらいにしか存在しないんですなぁ。

 

 走りやすくなったのは良いんですが、調子に乗ってると膝の痛みがどんどん酷くなっていくので、バランスが難しいですな。

 

 さて、DUNEと言ったら我々アラフィフ世代はデューン砂の惑星ですよね。その後ドラマ化もされてるらしいですが、なんと言ってもデビット・リンチ版ですよ。ま、原作が1番の衝撃だったんでしょうが、直撃世代はもうちょい上でしょうね。もちろん私は読んでません。

 

 映画館で観たかテレビで見たかは忘れましたが、何か凄い監督が凄い映画を撮った!位の認識で観て、中身は全く覚えていませんが「なんだこりゃ(;´・ω・)」となった記憶だけはあります。

 何せ、小学生か中学生になり立てぐらいの頃なので、内容が良く解らなかったのかな、今見たらもしかしたら結構面白いのかも…なんて思ってアマゾンのレンタルでもポチッてみようかな、なんて時に今作を見つけましてね。

 

 ホドロフスキー自体には、何か変な映画撮る人よね位の知識しかなかったんですが(エル・シドとエル・トポがいつもごっちゃになるんです)、DUNEを取り損ねたけどコンテが凄ぇみたいな話は聞いた事はあったんで観てみたんですが、ホドロフスキー超ヤバイ人でした。

 

 『エル・トポ』と『ホーリー・マウンテン』を当てたホドロフスキーが、プロデューサーに次作好きなもん撮っていいよって言われた時にDUNEと即答したんですが、この時まだ原作を読んで無かったってんですから(゚д゚)!ですよ。友人が絶賛してたって、そりゃアンタ。

 

 脚本を完成させて「戦士を集める!」なんつってキャストを集めるんですが、これがまた剛腕と云うかなんというか、出てくる名前が凄すぎて。

 当代一のバンドデシネ作家だったジャンジローに絵コンテを書かせるところから始まって、宇宙船デザインにクリス・フォス、美術担当にH・R・ギーガー、特殊効果にダン・オバノン、音楽にピンク・フロイド、役者陣はデイヴィッド・キャラダインウド・キア、ニック・ジャガーオーソン・ウェルズ!、サルバドール・ダリ!!。

 

 何この、馬鹿の考える「僕の考えた一番カッチョいいキャスティング」。

 

 このキャストを口説き落としていくシーンが『七人の侍』ばりに面白かったですよ。

 

 『2001年宇宙の旅』の特殊効果をやったダグラス・トランブルに会いに行って、当時すでに大物だったトランブルになめ腐った態度をとられたため、出てっちゃうし。「預言書となるべき映画を作るのにふさわしくない」とか言ってね。

 その後、ダン・オバノンマリファナを土産口説きに行ったり、逢いに行ったらハンバーガーを食べててロクに話も聞く態度じゃないピンクフロイドに「君たちに任せようとしているのは、人類の歴史で最も重要な映画の音楽だ、それをビックマックなんぞ食いやがって!」とブチ切れたり。

 時給10万ドルとか舐めたことを言ってくるダリに、出演分数×10万ドル!で交渉するんですが、プロデューサーと「ダリの主演分数は?」「3分、長くて5分」とか相談する辺りは映画の1シーンみたいですよ。オーソン・ウエルズを口説くのに、お気に入りのレストランのシェフを毎日呼びますよとか。主役のポールにキャスティングした息子には、2年間ガチで武道の修行をさせますしね。(エル・トポの素っ裸の子が実の息子だったのね。知らんかった。)

 

 挙句の果てに、上映時間2時間の尺に収めろって言われて「いや12時間の作品になります」 そら、予算降りんわ。

 

 デビット・リンチに企画が流れてと聞いて、「あのリンチが!もう駄目だ、あの天才が俺より面白いDUNEを作るんだ、畜生!!」とメッチャ落ち込むんですね。

 上映されても観たくない、ってくらい塞ぎ込んでたら息子に「戦士だったら観に行かねば駄目だ」と喝を入れられ、死人のような気分で観に行くんですよ。ところが映画を観ていくうちにどんどん元気になっていくんですね。

 

 「何たる駄作!俺のDUNEの方が絶対面白いじゃん!!

 

 このくだりはヒド過ぎてホントに大爆笑ですよ。「プロデューサーに滅茶苦茶にされたんだろうね」なんてフォロー入れてましたけどね。

 

 そんなこんなでお蔵になったこのDUNEですが、絵コンテと共にホドロフスキーが全部説明してくれるので、何か本当に見たような気分になれましたよ。本人もコンテはあるんだからだれかアニメ化してもいいんじゃないとか言ってますし。

 

 兎に角ホドロフスキー自体がホントに情熱的でカリスマ性とエネルギーにあふれてるんですね。こういう人が周りを巻き込んで巨大な事業を成し遂げて行くんだろうなぁ、と才能も魅力もない凡夫以下の私なんかは心底感心してしまいましたよ。

 

 ドゥニ・ヴィルヌーヴの『DUNE/デューン 砂の惑星』、ホドロフスキーは観に行って元気になるのかしら、落ち込むのかしら?(92歳でご存命)

 

 『DUNE/デューン 砂の惑星』観に行こうかな。 あ、デューン砂の惑星は見ないと思います。

 

 ではまた