ワンダーウーマン1984感想(ネタバレあり)

1月3日鑑賞

ワンダーウーマン 1984

解説

DCコミックスが生んだ女性ヒーロー、ワンダーウーマンの誕生と活躍を描き、全世界で大ヒットを記録したアクションエンタテインメント「ワンダーウーマン」の続編。スミソニアン博物館で働く考古学者のダイアナには、幼い頃から厳しい戦闘訓練を受け、ヒーロー界最強とも言われるスーパーパワーを秘めた戦士ワンダーウーマンという、もうひとつの顔があった。1984年、人々の欲望をかなえると声高にうたう実業家マックスの巨大な陰謀と、正体不明の敵チーターの出現により、最強といわれるワンダーウーマンが絶体絶命の危機に陥る。前作でもメガホンをとったパティ・ジェンキンス監督のもと、主人公ダイアナ=ワンダーウーマンを演じるガル・ギャドットが続投し、前作でダイアナと惹かれあった、クリス・パイン演じるスティーブも再び登場する。

2020年製作/151分/G/アメリ
原題:Wonder Woman 1984
配給:ワーナー・ブラザース映画

(映画.COMより)

 

どうもNOTOと申します。

今日は左肩が痛いです。

 

 やっと公開されましたね。

 コロナで仕方がないとは云え、大作映画が次から次へ公開延期される中、よくやってくれたなぁ、と思いますよ。

 007なんかホント公開されるのかしら。なんかもう見たような気になってるもんね、あんだけCM見たら。凍った池から這い上がって敵を倒すんですよね。ハビエル・バルデムでしたっけ。そんでジュディ・デンチがああなって。うん、見たことあるわ。

 それはそれとして、ダイアナですよ。

 

 ざっとしたあらすじとしては、ダイアナことワンダーウーマンは、前作から約70年後、スミソニアン博物館で考古学者として働きながら、宝石強盗などをつかまえるなど人知れずヒーロー活動を行う日々を過ごしておりました。そんなある日、博物館に、触った人間の願いをかなえる奇跡の石が持ち込まれまして、ダイアナにあこがれる冴えない同僚バーバラが、ダイアナになりたいと願ったり、ダイアナもついつい死に別れた恋人スティーブに再開したいと願ったり、なぜか石の存在を知っていた、石油会社の社長マックスが自らが奇跡の石になりたいと願ったり。

 しかし、奇跡の石は1つだけ願いをかなえる代わりに、代償を求めます。スティーブと再会したダイアナはスーパーパワーを徐々に失い、バーバラはゴージャスなスーパーウーマンになる変わりに、優しくユーモアにあふれた人間性を失っていきます。

 一方石の力を手に入れたマックスは、世界中の人間の願いを聞き入れる代わりに油田やらコネやら権力やらを手に入れて、あっという間に大統領の権力まで手にします。ダイアナは、他人の体を借りて魂だけ復活したスティーブと、マックスを暴走を阻止しようとしますが、元に戻りたくないバーバラは、マックスと組んでダイアナに立ちふさがります。

 マックスは、衛星の通信システムを使い全世界の通信機器とアクセスし全世界の人間の願いを叶え、その代わり自らの無限の欲望(富、権力、不老不死?)を叶えようとます。そのため、世界中に混乱が起こり、核ミサイルまで発射されます。

 世界の崩壊を止めるべく、ダイアナは願いを取り消し、スーパーパワーを取り戻し、マックスのもとに向かいます。さらに強力な超人チーターに変貌したバーバラを倒し、マックスからヘスティアの縄を通じて、全世界に願いを取り消すよう訴えます。マックスには崩壊しかけた世界で危機に瀕する最愛の息子の姿を見せることで、息子を救うため願いを取り消させます。石の力が消えたことで、混乱は収まり世界は救われました。

 

 実に面白かったですよ。ガル・ガドット最高。

 

 やはり映画館で映画を見るからには、ド派手な映画が見たいなあと。去年からアメコミ大作映画が軒並み公開延期になる中で、ようやっと公開してくれたわけですから、そら期待に胸も膨らみますよ。

 アメコミの映画化と言えば、やはり一連のMCUシリーズが思い浮かぶでしょうが、DCEUも良いものですよ。誰も悪いとは言ってませんが。

 マンオブスティールから始まった、一連のシリーズもいろいろ言われてますが、好きなんですね。ノーラン版バットマンの影響が強すぎたせいか、なんかこう重たいというか、クリストファーリーブのスーパーマンとか、マイケルキートンバットマンみたいな陽性の雰囲気がないんですよ。(マンオブスティールのラストのあれとか。あーあ、もぉ!言わんこっちゃない!みたいな顔のヘンリー・カヴィルも良いんですが。)

 だから、バットマンVSスーパーマンの微妙にかったるいラストバトルのシーンで、満を持して外連味たっぷりに登場のワンダーウーマンの、まぁカッコいいと言うか、「この人が主役じゃん」 感がすごいと言うか。実際、アクアマンが当たるまで、DCEUを一人で引っ張ってた感がありますしね。前作も面白かったし。アメコミ映画初の女性監督作品として実に意義のある作品だったと思いますよ。

 

 今作も、同監督によるシリーズ2作目ですが、前作よりもよりポップで明るいタッチですね、1984年が舞台ですし。

 前作では「あれ?爺ぃブッ殺したのに戦争終わらない!」(驚愕)というぐらい純粋だったダイアナも、今作では、クリスマスシーズンのレストランで独り、カップル客を眺めては(ああアタシはずっと1人なのね)なんてしんみりする位には世間を知ったので、80年代ファッションと相まって、よりゴージャスな美人感が増して、そりゃバーバラさんも(アタイもああなりたいわ)なんて思うでしょうね。バーバラ役のクリステン・ウィグ自体美人なので、そんなにイケてない感は無いんですが。

 この手の、メガネを取ったら美人でした問題はなかなか難しく、メガネをしてても「いや、どう見ても美人だろ」って女優が演じることが多いので、登場人物たちの目がおかしいとしか思えない事態が往々にして起こります。解決策としては「湯けむりスナイパー」のカトリーヌ山岸方式しかないでしょうね。なんて考えてたら、さっそく採用されてましたね、トレバー役のクリス・パインで。

 トレバーは今いる人間の姿を借りて(クリストファー・ポラーハ。キャスト表の役名はイケメン男!)魂だけ蘇るのですが、ダイアナと再会していからはずっとクリス・パインが演じるのです。だから、この後の様々な冒険も、我々(およびダイアナ)にはクリスパインが行ってるように見えますが、ガワはこのイケメン男です。人の体借りといて、よくあそこまで無茶が出来ますな。

 このイケメンのワードローブを使った80年代ファッションショーで、クリスパインが80年代ファッションをちゃんと着こなしてるのがまあ大爆笑。ボンジョビデュランデュランを彷彿とさせる装いが、アラフィフ世代にどストライクですよ。バーバラがスポーツジムに行くシーンも、衣装がまんまフラッシュダンス(笑)。

  序盤のファイヤーバードトランザム(かな?)からショッピングモールでのアクションの撮り方まで80年代間満載で、時代考証から主題、撮り方までちゃんと一致させてるんだなと思いましたよ。なんでも願いをかなえたいという欲望の暴走が、バブル期の80年代と超格差社会となった現在と全く変わらず進んでいて、旗を振っているのが明らかに前大統領をモデルとした人物(石油と不動産が違うだけでやってる事はまあ変わらない)なのが実に分かりやすいですな。中盤、石油王の「祖先の領土を取り戻したい」と云う願いを叶えたら国境沿いにホントに壁が出現したのには、いやそういう事じゃねえだろ!と。当時の現政権に対しての皮肉なのはわかりますが。スケジュール通り公開されていれば、大統領選への明確かつ重大なアピールになったでしょうに。

 

 それに、願いを叶えたら代償を取られるという設定がいきなり出てきますが、失うものに差がありすぎるような。ワンダーウーマンと同等の力が手に入った代償が、性格がガサツになる、位だったらチータになりたい人は大勢いるんじゃないでしょうか。ビジュアルは嫌ですが。マックスも、俺は石そのものになりたいんだ!と言ってましたが,バーバラが部屋に帰ってきたとき、石が2個チョコンと置いてあったらどうするのやら。それよりも、そんな石探す暇があったら油田を探せよ!油田を。全く、指をパッチンしたら全人口が半分になる願いをしたらどんな代償があるんでしょね。

 それか、手に入れたことの代償ではなく、それを取り消さねばならない時が一番の大きな代償なのかも。70年以上人知れず他者を救い続けていた(んですよね?)ほど、まさに神のごとき高潔な存在にしても、願いを取り消したくない、一瞬世界よりも自分の願いを優先したいとなる位、夢想に近い夢であればあるほど、手放すのはつらいでしょう。だからこそ、あの走り出すダイアナの姿が悲しくも尊いのです。

  とにかくマックスが何でもかんでも願いを叶えた挙句、世界が欲望でパンクしそうになるのですが、ダイアナの説教でみんな願いを取り消すわけですね。そんな簡単に、と思いますが、そりゃ核ミサイルが飛んでくりゃ皆さんビビりますわな。

 で、結局息子可愛さにマックスも願いを取り消すわけですが、私、てっきり願いを取り消した途端、すべてが元通りになるのかと思ってましたので、「TENET」ばりの逆行シーンの後、ダイアナが石をどこかに保管するみたいなシーンを想像してましたよ。コブラの「ロボットはいかが?」ですね。

 あと、インビジブルジェットは良いけど花火で撃墜されそうとか、そもそもあの移動意味あった?とか、あの黄金聖衣ゴールドクロス取りに戻ったの?など思うところはありますが、面白かったですよ。次作が楽しみですな。

 「ジャスティスリーグ」スナイダーカット版も、もちろん見たいですが、これはこれでジョス・ウェドンに失礼じゃないか、という気もするしなぁ。あれはあれで面白かったし🤔。

 

ではまた

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナと免許更新と私

どうも、NOTOと申します。

今日は肩が痛いです。

 

先日免許更新に行ってきました。

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なぜ、最寄りの警察署や免許センターに行かなかったかは察してください。

 さて、現在の免許更新状況は如何なものでしょうか。

 そもそも、このコロナ禍の真最中(非常事態宣言中ですぜ)に大勢人を集めるのもどうかと思いますが。私、何せ免許がない!と仕事にならない職に就いておりまして、我が国の道路交通法執行時の様々な手練手管に怒りを覚えつつも(いや、そりゃ悪いのは私なんでしょうけど)、生活のために行ってまいりました。

 

 例年、1月の更新受講者数はかなり多いそうです。さらに今年はコロナによる影響で、人員も少なくなる為、かなり混雑が予想されるそう。特に1月の日曜日は受付できないこともあるそうですよ。

 生まれてこの方、1月にしか免許の更新を更新をしたことがない身の上としては、毎回まあこんなモンだろ、と思っていた混雑がえらい事態だったらしいですな。

現在、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を実施しているため、混雑により長時間お待ちいただく場合や1日に実施可能な定員に達した場合は、受付できなくなります。各更新会場の混雑状況を確認の上、空いている時間帯の来場にご協力をお願いします。(警視庁HPより)

いや、延長しようよ更新期間。

 2021年1月現在、手続きをすれば3か月延長できるそうですがこの手続き、都内の場合、運転免許試験場・運転免許更新センター・都内の全警察署で手続きしなければならんのですよ。そんな手続きするぐらいならその場で更新するんじゃないかしら。

 いや、私のように、やむにやまれぬ事情により(/ω\)、試験所でしか更新できない人間には便利かもしれませんがね。去年の非常事態宣言発令から収束まで一律1年延期とかにしたほうが、よほど手間がかからないと思いますが。

 

 というわけで、1月某日、日曜日を避け(土曜は受付してないのです)平日に免許の更新をすることにしました。

 当日、試験場に電話しましたよ、念のため。自宅からは小1時間ほどかかるので、この寒空の中わざわざ行ったは良いけど、大行列の挙句受付できませんでは目も当てられません。

 AM10:00頃、例によって音声ガイダンスでたらい回しにされた挙句やっと繋がった職員さんが、

「すいてますよ」

「えっ」

「平日ですし、今のところは…」

「すぐ行きます」

 と云う訳で、昼前には到着いたしました。

 

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さすが警察、物々しいサーモグラフィーでお出迎えです。

そして、受付窓口までの列ですが、

f:id:notooizq:20210124230148j:plainガラガラ

 

  この先、少し並んでいますが、すぐに受付できました。受付の前に4桁の暗証番号を入れる端末が並んでますが、この番号はのちに本籍地も含めた免許内容が確認できるICカード読み取り機を使用するために必要です。出たカードは免許とは別に保管しておきましょう。講習中にも再三注意されます。

 この後更新手数料を支払い(3,850円!)、視力検査の後、住所氏名等内容の確認をされます。免許に載せる住所ですが、マンション住まいの方、今はマンション名を記載するかどうか選べるみたいですよ。以前からできたのか?

 そして写真撮影ですね。姿勢が悪いと何度も正されます。私の場合、真正面を向いてるはずが、なぜか左に向いて!と何度も言われてしまいました。

  それから2階に移動し講習を受けるのですが、ここまでで20分はかかってないでしょうね。ずいぶんスムーズに進みました。しかしここからが問題です。

 講習は各講習室が満席になり次第始まるのですが、人が少ない分、満室になるのに時間がかかるのです。結局ここで30分ほど待たされました。空いているからこそ待たされるというのは盲点ですな

 講習室は70人ほどは入れましたが、以前よりはスペースを確保してあるように感じました。ミニテーブル付きの椅子が70脚ほどあったのですが、以前は長テーブルにみっしり並んで座っていたような記憶があります。

  実際の教習は2時間弱、配られた教本を読みながら教習員のお話を聞くといった内容で、おなじみの教習ビデオを見せられるのは後半30分程度でした。2時間ずっとビデオを見せられ続けるかと思ってましたが、お話の時間が思ったより長かったので、眠りに落ちずに受講する事ができました。教習員は気さくなおじさんで、さすがに毎日何回も同じことを話しているからでしょうか、聞きやすい語り口でしたよ。

 ビデオの内容は、いつも通り、飲酒運転での事故で人殺しになった挙句全てを失ってしまったの…というドラマなのですが、この事故で大学生の命が失われました、なんてナレーションの後いきなり本当の遺族が出てきて飲酒運転根絶を訴えて来たものですから、「え、再現ビデオだったの!」とビックリ。

 なんと言いますか、「シンドラーのリスト」のラストで、本当のホロコーストの生き残りご本人が出てきたみたいなと言いますか。ぼーっと見ていたので、最初に再現ドラマと言ってたのかもしれませんが、不意を突かれたので、「おぉ何とシームレスな演出」と、うっかり感心してしまいました。

 講習が終了したら、上階の受付で免許を受け取るのですが、終了時には新しい免許も出来てますので、大して待たずに免許書は受け取れます。

 

 と云う訳で、免許更新にかかった時間はトータル3時間強ぐらいでしょうか。やはり平日に行くのがお勧めですね。というかこのご時世、講習はオンラインにして各手続きは警察署でも可能にするとか、やりようは様々あると思うのですが。お仕事上、日曜日にしか手続きできないと云う人も大勢いるでしょうし。テレワーク7割なんてのは夢のまた夢ですな。

 

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 サンリオとSAN-Xの支配するみやげ物売り場

 

燃ゆる女の肖像:感想(ネタバレ有)

2021年1月1日鑑賞

 燃ゆる女の肖像

解説

18世紀フランスを舞台に、望まぬ結婚を控える貴族の娘と彼女の肖像を描く女性画家の鮮烈な恋を描き、2019年・第72回カンヌ国際映画祭脚本賞クィアパルム賞を受賞したラブストーリー。画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から娘エロイーズの見合いのための肖像画を依頼され、孤島に建つ屋敷を訪れる。エロイーズは結婚を嫌がっているため、マリアンヌは正体を隠して彼女に近づき密かに肖像画を完成させるが、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを批判されてしまう。描き直すと決めたマリアンヌに、エロイーズは意外にもモデルになると申し出る。キャンパスをはさんで見つめ合い、美しい島をともに散策し、音楽や文学について語り合ううちに、激しい恋に落ちていく2人だったが……。「水の中のつぼみ」のセリーヌ・シアマが監督・脚本を手がけ、エロイーズを「午後8時の訪問者」のアデル・エネル、マリアンヌを「不実な女と官能詩人」のノエミ・メルランが演じた。

2019年製作/122分/PG12/フランス
原題:Portrait de la jeune fille en feu
配給:ギャガ

(以上、映画.comより)

 

  どうも、NOTOと申します。この日は足首が痛かったです。痛風かな。

 

 今更ですが、とりあえず今年初めて見た鑑賞の映画ということで、感想を。

 

 いや、なんというか人によって見方がすごく変わる映画でしょうね。

 歴史に残る名画だという評が多いと感じますし、実際よくできた映画ですが、

話としては、まぁようある話ですよ。

 

 絵描きが、意に添わぬ結婚をしようとしている、孤島に住まう深窓の令嬢をモデルに肖像画を描いている間に恋に落ちる、しかしその絵を描き終える時が2人の別れの時…

 ストーリー自体はホントによくある恋愛物なんですね、立場の違いによる悲恋物。

 嗚呼、良くあるおフランスムービーね、ブシュブシュ解ったようなこと言い合ってるのね、映像はきれいなのね、などと皆さん想像しますが(偏見)、そのカップルが女性同士になるとこんなに切り口が変わるものかと。

 そもそもこの作品、ほぼ女性しか出てきません。

 最初に肖像画を依頼された男性画家は、モデルのエロイーズに会うこともできず、顔が描けずにお役御免。あとは画家マリアンヌを孤島まで運ぶ船乗りぐらい。肖像画を依頼した貴婦人の夫も他界しているらしく、島には使用人のソフィ含め女性のみ。ちょっとした女護ヶ島状態です。

 

 ざっとしたあらすじですが、貴婦人に娘エロイーズの肖像画を依頼された画家マリアンヌは、肖像画を描く目的を隠し、エロイーズの話し相手として島に向かい、話し相手として徐々に打ち解けながら、隠れて肖像画を描き上げる。正体を明かしてエロイーズに肖像画を見せますが、『こんなのアタシじゃない!』的にキレるエロイーズに、マリアンヌもキレ返して顔を塗りつぶしてしまいます。伯爵夫人に5日以内に書き直すように言われたマリアンヌにエロイーズはモデルとしてポーズをとることを約束。

 伯爵夫人が不在の5日間の間、ソフィーも含め女3人で、料理をしたり、カードをしたり、オルフェウスの神話について語り合ったり、夜祭で燃える女になったり、ソフィーの堕胎を手伝ったり(!)キャッキャウフフと過ごしている間により2人は親密になっていきます。散策中、とうとう海辺の洞窟で接吻を交わすと、一夜を共にすることに。溺れるよう愛し合う2人ですが、約束の期限が来てしまい絵は完成。マリアンヌはエロイーズの小さなスケッチを描き、エロイーズは愛読書の28Pにある余白にマリアンヌの自画像を描くよう頼みます。

 島を離れる当日、思いを振り切るよう屋敷を出ていくマリアンヌに対し、エロイーズは振り返ってと声をかける。思わず、冥府から帰るオルフェウスの如く振り返るマリアンヌは、花嫁衣裳のエロイーズを目にする。その後彼女たちは2度再開します。一度は展覧会で、母となり子を抱いた肖像画のエロイーズと。その手はあの本の28Pに指を差し込んでいました。もう一度はコンサートホールで。向かいの桟敷席に座ったエロイーズはマリアンヌのほうを向かず、思い出の曲、ヴィヴァルディ協奏曲四季の夏を聞きながら激しく嗚咽するのだった。

 

 てな具合ですが、恋愛映画として、実に優れてますよ。2人の人間が出合い、惹かれあい、恋に落ち、やがて別れる。この行程が実に丁寧かつ繊細に描かれていて。異性愛者同士の、普通の恋愛映画(今はそう言っちゃ行けないのかな)でもあるような、お互いの距離の縮め具合とかが実に絶妙。

 これ、画家役が男性だったら、まずは話し相手から、とはならないだろうし。仕事としてモデルになってもらうより、話し相手として打ち解けてもらうほうが、よっぽど難しい様な。最初に話し相手として交流していたから、モデルと画家という関係よりも深く観察し合えていたんじゃないかと。最初の肖像画のコレジャナイ的ダメ出しも、もっと私を見て、というメッセージを感じます。

 だから、5日間の女3人シェアハウスライフがもう楽しそうで。もしあれがエロイーズじゃなくてお姉さんだったら、自殺することもなく、たまに思い出の宝箱からあの5日間の記憶を取り出し、舐り倒してはコンサートホールで号泣する日々を過ごせてたのではないでしょうか。それも辛いな。

 特に、一線を越えてからの2人のバカップルぶりがまあ面白くて。ピロートークの、いつからヤれそうだと思った?(まぁそんなニュアンスの会話っすよ)とか、絵をかいてる真っ最中に、マリアンヌに癖を指摘されエロイーズが相手の癖を指摘しあう、あなたを見ているマウント合戦からの雪崩れ込んでいく感じ(パターンは違うけど、リーサルウエポン3のメルギブとレネ・ルッソを思い出した)なんかが、そりゃセクシャリティ関係なくヤることは概ね変わらんよなー、などと思いながら笑ってしまいましたよ。

 

あとマリアンヌが最後、エロイーズの本に自分のスケッチを描く時の手鏡の置き方。まさに万華鏡。最高ですね。絵を嗜む人たちはぜひ試してみてください。28ページの秘密… 『燃ゆる女の肖像』ラストネタバレあり|フクイヒロシ(映画垢)|note

 

 でもこの弾けっぷりも、終わりがあるからだと思うとなかなかに辛くて。

 特に通底するのが、18世紀フランスにおける女性の立場の辛さというか、もちろん当時のフランスだけではないでしょうけど、そもそもエロイーズは知らない奴と結婚するために修道院から呼び戻されるわ、マリアンヌも父親名義でゴーストライター的な事をやらされているとか、堕胎したことがあるとか、ソフィーが堕胎する理由は不明ですが、まあいろんな理不尽が彼女らに覆いかかるんですね。それも男由来の。

 男は画面にほとんど出てきませんが、通底する抑圧の原因として常にそこにいるんですね。だからこそMetoo運動やLGBTQへの理解が当然となりつつある、この時期に作られて評価されたのはホントに素晴らしいなと。まぁ狙い通りではあるんでしょうが。

 後、最近でも女性同士のカップルはネコとかタチとか言うんですかね。凛としたエロイーズ(スカートに火がついても全く動じない程に!)が、世間ずれしたマリアンヌにリードされていくかと思いきや、エロイーズが離れかけたら泣いて縋るみたいな所も、カップルのやることは性差万別なく変らないのだなぁと感心しましたよ。男性が全く居ない状況だからこそ、性別によるロールの固定化から逃れてるというか。

 あと、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」をよく聞いているのですが、映画評コーナ『ムービーウォッチメン』に、プロの画家から「使われてる絵が下手すぎてノれなかった」的な投稿が来てて、そうなのか!と絵心のない人間は(゚д゚)!ですよ。いや映画作るってホント大変なのね。

 

まだ上映しているみたいですので、恋愛映画が好きな方はぜひ劇場に。

 

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元旦の日比谷の様子。閑散としてましたよ。

ではまた。